不安で不安でたまらない受験生のみなさま
中学校3年生の方、高校3年生の方――「今年は受験の年」という方、多くいらっしゃいますよね。受験の年は、ただでさえ、不安でいっぱいな年。私は、いまだに試験の終わるチャイムが鳴って、「はー終わった」と試験問題を引っくり返し、そこに「問4」を発見して、「あーーー、問3までしか手をつけてなかったじゃん」と心臓に差し込むような痛みを感じ、目を覚ますことがあります。受験の夢って、今でも見るんですよね。それくらいトラウマの年だったから。
ましてや、今年は、コロナというかつて私たちが経験したことのない禍で、学校にも行けず、塾にも行けず、焦りばかりが募ってらっしゃる方もいらっしゃるのでは?
私は、大学受験の年の5月に入院しました。4月から舌が腫れはじめて、食べ物も飲み物も、最終的には唾を飲み込むことすら激痛になってしまったの。で、入院直前にはついに口が閉じられないくらい舌が腫れてしまって。思春期だったけど、自分の見た目の悲惨さよりも先に「生まれてから一度も入院したことのない健康優良児がなぜこの時期に……」って思いました。
病院の消灯はものすごく早い。全然眠くない。だから、燈の消えた病院の中で、延々と妄想するわけです。クラスメイト、すいすいと問題集を解いていく様を。全国の受験生が、私を追い抜いていく様子を。
でね、そのとき「最大のハンデ」って思ったことは、結局、受験本番ではなんでもなかったわけ。それよりも大事なことは、あなたが不安を抱いているということ。
他の受験生が気になりますか?
受験のことを考えてると、胸がきゅーっとなるような感覚ってありますか?
ある? もしあるなら、私としてはほっと一安心。あなたは「8割がただいじょうぶ」だからです。
受験勉強で一番重要なのは、実は、この「危機感」です。私はだいじょうぶなのだろうか? こうしている間に、ライバルが勉強を進めているんじゃないだろうか? こういう意識を持てるあなたは、受験勉強向きです。
逆に、危機感をどうしても抱けないお子さんたちがいます。どれほど合格判定のデータなんかを見せても、「おれはだいじょうぶ、いつでもやればできるから」的な、ね。いい子が多いんですけどね……こういう子たちに、危機意識を抱かせるのは、熟練の家庭教師でも絶対に無理。
危機感とか、焦燥感とか、そういうのって教えられるものじゃないの。だから、これを読んでくださってる受験生の方が、受験になにがしかの不安を抱いているなら、あなたは最大のハードルを軽々とクリアした受験勉強向きの方です。ひとまずは、「やみくもな不安からはさようなら」をする資格があります。
あとはそんなに難しいことじゃない。その不安を正しく方向づけしてあげればいいだけです。入院中の私みたいに延々と妄想と闘うという無意味な方向じゃなくて、机に座って問題集と格闘するという方向に、ね。