アメリカでは、まず出鼻からトランプの洗礼を受けました。ニューヨークのJFK国際空港についてから、入国審査が進まない、進まない。入国ゲートの前では幾重にも列ができて、まるでティズニーランドのアトラクションへの待ち列さながら。入国審査が格段に厳しくなったとは聞きましたが、予想以上の念入りな審査には、やや不安を覚えます。

 今回泊まったニューヨークのグランド・ハイアット・ホテルは、駆け出しの頃のトランプがハイアット・グループと組んで、これを手掛け、一気に名を挙げたもの。このホテルは、もともと1919年にオープンし、「世界で最も美しいロビー」を誇ったコモドア・ホテルでした。ところが、時代が移り変わる中で、ホテルはまわりの地域とともに廃れ、いかがわしい人々を引き寄せて治安を悪化させ、街の中心部の景色をすさんだものにしていました。

 グランド・セントラル駅直結という、ホテルの絶好のロケーションに目を付けたトランプは、①ニューヨーク市との交渉によって40年に亘る減税という破格の条件、及び、②ハイアット・グループとの交渉によって彼らと手を組むという条件という、大きな2つを勝ち取り、1980年に、グランド・ハイアットとして再オープンさせました。

 その後、1989年には市から多額の賃料を要求されたり、1993年にはトランプがハイアットを訴えたりしたすったもんだの末、1996年には懲りたハイアットが、トランプの持分すべてを買い取って、今は100%ハイアットが所有するホテルとなっています。

 ケチがついてしまった後半部分の歴史については、トランプの自伝で見事に伏せてあるので面白いです(笑)。

 五番街に立つ、トランプの象徴ともいえる、トランプ・タワーにも行ってみました。デモ隊こそ、今はいなかったものの、入り口付近の歩道には二重の柵がめぐらされ、回転ドアの前には何人かの警官が立ち並び、荷物を機会に通すことを求められる厳格さで、トランプ後の混乱の一端を垣間見ました。そんな厳重な警戒にも拘らず、トランプ・タワーを訪れる観光客の数は、やはり格段に増えているようです。

 ところで、グランド・ハイアットも、五番街のトランプ・タワーも、コロンバス・サークルのトランプ・タワー&ホテルも、ガラス張りにして、かつ、あえて複数の複雑な面を作ってキラキラさせる方式。こういうのが、本当にお好きなんでしょうね。

 ブログ170704

(写真はセントラルステーション駅から見たグランド・ハイアット)