前回のブログで、イヴァンカ・トランプの夫であるジャレッド・クシュナーについて書いた。今回は、仕事と家族を両立するイヴァンカ・トランプについて、書いていこう。
1. イヴァンカ・トランプとジャレッド・クシュナー
イヴァンカとジャレッドとの付き合いは、必ずしも順風満帆ではなかった。
クシュナー家は、代々敬虔なユダヤ教徒である。ユダヤ教は、いわば、「白人の中のマイノリティ」だから、「我こそはアメリカの王道」を前面に押し出すトランプ家とは相性が悪かったのかもしれない。
大学卒業後の研修中に、イヴァンカとジャレッドはいったん破局している。
それを復縁させたキューピットがウェンディ・マードックだ。
イヴァンカの親友で、「メディア王」ルパート・マードックと37歳の年の差をものともせずに結婚し、世界の富豪の仲間入りした。
もともと中国の片田舎の出身だったが、アメリカ人の事業家夫婦と知り合い、彼らの助けがあってアメリカに移住した。ところが、その恩人の夫のほうとできてしまい、夫婦を離婚に追いやる。その後、ウェンディは、1999年にルパート・マードックと結婚したが、結局、2013年に離婚する。離婚の原因は、2012年、ウェンディが元英国首相トニー・ブレアと浮気したためと、推測されている。
ウェンディがなかなかすごい女性であることは、間違いない。とにかく、イヴァンカとクシュナーは、ウェンディが仲立ちして、マードック所有のヨットの上で仲直りして、よりを戻している。
2. 家庭と仕事を両立するイヴァンカ
十代の頃にはモデルも経験したイヴァンカは、180cmを超える長身のブロンド美人で、頭脳も明晰らしい。父の母校ペンシルベニア大学のウォートン・スクールを卒業している。
子どもたちの中では父の一番のお気に入りといわれ、昨年の大統領選挙でも、父の応援演説を数多くこなして人気を得た。
トランプの不動産事業に加わるかたわら、自身の名前を付けた「イヴァンカ・トランプ」というファッションブランドを立ち上げた。仕事をバリバリする女性というイメージがある。
一方、私生活では3児の母である。先ほど、ジャレッドはユダヤ教で、付き合っているときから、宗教についてはやや揉めていたと書いた。イヴァンカは、ジャレッドと結婚する前の2009年に、あっさりとユダヤ教に改宗して、今ではその教えを厳格に守っている。
ユダヤ教では、金曜日が「安息日」とされるらしい。イヴァンカと夫のジャレッドは、この教えに従い、金曜日の夜から土曜日の日没まで、電話線を抜いて外部から連絡が取れないようにして、家族水入らずの時間を楽しんでいるという。
生粋のお嬢様であるイヴァンカが、その間には、手料理を家族に振舞っているという話もある。
ビジネスウーマンでありながら、家族を大切にする、「両立」の姿勢は、アメリカのみならず、日本でも支持された。
3. 日本でのイヴァンカ人気
ワシントン・ポストは、「日本人は、トランプのことはよく思っていないかもしれないが、イヴァンカは大好き」と報じた。
日本でイヴァンカが人気になっている理由について、ワシントン・ポストは、1)男尊女卑の強い日本で、仕事と家庭を両立するイヴァンカが女性たちの憧れとなっていること、2)娘がピコ太郎を真似しているインスタグラムをアップすることで、日本人ファンを増やしたことという、本当かウソかよく分からない指摘をしている。
一方のイヴァンカも日本には好意的。
トランプ大統領が安倍首相を厚遇している背景には、イヴァンカが安倍首相を気に入ったためとの情報もある。
ところが、ワシントン・ポストは、イヴァンカの日本びいきの背景について、少し意地悪な観測をしている。彼女のビジネス的な動機があるというのだ。
2016年、大統領選挙中、イヴァンカのブランドの売り上げは落ちた。「女性の自立」をテーマにしたブランドなのに、実の父親が女性差別を明言しているのだから、ブランドイメージは下がるばかりだ。
ワシントン・ポストは、イヴァンカが日本を重視している理由について、自分のブランドを日本で売ろうと思っているからではないかと、記事でほのめかしている。
トランプが当選した後のテレビ・インタビューで、自らのブランドの100万円以上のブレスレットを付けて出演し、かつ、放送後にイヴァンカのブランドがすかさずそのブレスレットを宣伝したことで、イヴァンカは批判された。「大統領の娘」という立場を、自分のビジネスのために利用したという理由である。
彼女は、商魂たくましいビジネスウーマンなのか、子どもを優先する母なのか、はたまた政治的野心があって、ファースト・レディの立場を足掛かりに華麗に政界に進出したヒラリー・クリントンのようになるのだろうか…
写真はアメリカの議会(工事中)。