ブラピとアンジーの離婚が話題になっている。思い出してみれば、『セブン』のときのブラピのかっこよさは半端じゃなかった。あの『セブン』のとき、ブラピの妻を演じたのはグィネス・パルトロー。ブラピはあのときはグィネス・パルトローと付き合っていたはずで、世界にこんなにも美しいカップルがいるのかと思ったのを、今でも記憶している。

    さて、話を元に戻して、ブラピとアンジーの離婚に際しては、子供たちの親権をどうするかが今回の大きな争点になっている。単独親権を求めるアンジーに対して、ブラピは共同親権を求めているのだ。双方とも敏腕離婚弁護士を雇って臨戦態勢。だから、今日は、「共同親権」という恐ろしいシステムの話をしていこう。これは他人事ではない。日本にも近い将来、取り入れられるに違いないのである。

 

1.         共同親権ってなーに?

 

では、「共同親権」というのはなにか。

アメリカの場合には、親権(Custody)には二つの種類がある。

a)      Legal custody      子どもの教育など重要な事項を決定する権利。

b)      Physical custody                   子どもと一緒に暮らし、監督する権利。

離婚後も両親がlegal  custodyを共有するというのは、極めて自然な話である。夫婦の関係は終わっても、子どもの親であることは変わらない。子ども教育や就職など重要なことについては、親同士が話し合って決める。日本でもこれは同じだろう。

それに対して、physical custodyを共有するというのは、日本ではいまだに行われていない。これはかなりびっくり仰天なシステム。なんせ、離婚後も、子どもは両親のどちらとも一緒に生活するのである。どういうこと?

当然、元夫婦は別々に暮らしている。だから、子どもは週の半分の時間は父と暮らし、残りの半分を母と暮らす。二親の間を行ったり来たりするのである。当然、子どもストレスは大きい。専門家の多くはこの制度に否定的である。しかし、共同親権がアメリカの標準になりつつあることは、まぎれもない事実なのである。

 

2.                         どうして共同親権が取り入れられたの?

 

「母性優先の原則」という言葉を聞いたことがあるだろう。事情は変わりつつあるとはいえ、日本ではいまだに母親が親権を取得するケースがほとんどである。

「一家の大黒柱」v.「専業主婦」モデルを考えると、これはとっても分かりやすい。「一家の大黒柱」とされる夫はとにかく外でがむしゃらに働く。そして、家にお金を入れて子どもの生活を経済的に支えている。それに対して、「専業主婦」の妻は、24時間家にいて子どもを日常的に世話し、精神的に支えている。

この「一家の大黒柱」と「専業主婦」が離婚したらどうなるか。夫が子どもに与えていたのは経済的な支援。つまりお金である。だったら、この夫は養育費を払えばいいじゃんということになる。子どもに精神的な支援を与え続けていた妻が単独親権を取り、夫が養育費を払うというモデルは、ここから生まれている。

 

アメリカでも「母性優先の原則」に似た理論がある。tender-year doctrineと呼ばれるそれは、乳飲み子、つまり3歳くらいまでの子どもは、母親が単独親権を取るべきという理論として広まった。さらに、それでは男女に不公平だという理由で、その後、primary caretaker doctrineに変更される。男だろうが、女だろうが、日常的に子どもに接している方の親が、単独親権を取ればいいという理論である。(結果的に、母親が単独親権を取るケースが多いのは、ご想像の通り。)

 

しかし、時代は変わった。

女性の社会進出が進んだかの国では、同時に男性の家庭進出も進んだのである。ブラピを見てほしい。インタビューでいうのは「子ども、子ども、子ども」。とにかく「父親になって、僕は世界で一番幸せだと思うようになった」と言ってしまうような彼である。ブラピとアンジーの夫婦の場合には、人気俳優に人気女優。父親が映画で主演しているときには母親が家で子どもたちと過ごし、母親が映画を監督しているときには、父親が家で子どもたちと過ごす。こんな家族の場合には、どっちが「一家の大黒柱」で、どっちが「専業主婦」かなんてことはない。どっちも同じくらい経済的にも精神的にも、子どもをケアしている。

かくして、共同親権を持とうではないかという動きが生まれたのである。父親の育児参加の結果、父親の子どもに対する権利は、ここまで高まったのである。

 

3.                         共同親権っていいことなの?

 

こう書いていくと、共同親権というのは、悪いことでもなさそうである。男が育児にかかわって何が悪い。男が子どもを大切に思って何が悪い。ところが、共同親権という制度は決して薔薇色ではない。

 

a)      夫婦関係を終わらせられるか

週の半分を父のところで、週の半分を母のところで過ごす。だからって、バラバラの学校に半分ずつ通うなんて難しい。この場合、離婚後も元夫婦は同じ学区内で暮らすことを求められる。離婚して働きに出たママが違う州で給料の良い働き口を見つけたといっても、引っ越しは当然のことながら制限される。離婚したにもかかわらず、元夫婦は近い場所に住み続けなければならない。誠に制約の多い人生と相成るわけである。

 

b)      子どもの負担はどうなるか

負担を負うのは、もちろん親だけではない。週の半分ずつを別の場所で暮らさなければならない、子どもの生活は不安定になってくる。アメリカの場合には、離婚率も高いが再婚率も高い。離婚した自分の父親が、新しい相手とデートする、同棲する、再婚する。その様を一緒に暮らしてまざまざとみる。さらに、自分の母親にそんな状況を尋ねられる。こんな子どもの気持ちを考えてほしい。精神衛生上、健全だろうか。

 

c)       養育費は減ったのか

さらに、共同親権は、通常、父から母に支払われていた養育費を減少させる。したがって、安穏と専業主婦におさまっていた妻たちは、離婚によってリアルな生活の危機に立たされる。養育費を減らすために、共同親権を主張する父親がいると主張している学者もいるくらいである。

 

                   とにかく、子どもが二つの家庭に所属するという、なかなかラディカルな共同親権。女性の社会進出が騒がれる日本でも近い将来導入されることだろう。とりあえず、ブラピは児童虐待疑惑を否定して、なんとか共同親権を取りに行きたい模様。このビックカップルの親権の行方に注目である。

 ブログ160927

(写真はhttp://www.knotsvilla.com/から)