やっと試験が終わりましたので、試験期間中に起きた衝撃的な出来事を紹介します。


「なぜ、あなたはそんなに臭うの?」

 

討論会の後に、突然、このように質問されたら、どう感じるだろうか?今、この非常にぶしつけな質問が、ハーバート・ロースクールで大変議論を読んでいる。

 

事件は4月14日に起きた。ハーバード・ロースクールとユダヤ系学生の団体が共催したイベントに招かれたのは、イスラエルの元外務大臣Tzipi Livni氏。彼女に対して、学生の一人が手を挙げて質問したのが、上記の言葉。原文のまま引用しよう。

 

My question is for Tzipi Livni – how is it that you are so smelly? “It’s regarding your odor – about the odor of Tzipi Livni, very smelly.”

 

Tzipi Livniさんに質問です!どうしてあなたはそんなに臭いんですか?」「あなたのにおいのことです、Tzipi Livniのにおいのこと。とても臭いです。」

 

うーん、どんな場面であっても、これは非常に不適切な質問である。

 

そして、それ以上に問題なのは、19世紀以来、「smelly(臭い)」「dirty(汚い)」というのは、ユダヤ人を差別するときの代名詞として使われてきたことである。「smelly Jew」で検索していただければ、よくわかるはずである。Anti-Semiticと言われる、ユダヤ人に対する人種差別表現に分類されるのである。このように分類された時点で、この表現は、彼女個人への侮辱のみならず、ハーバードのすべてのユダヤ系学生、ユダヤ系教授、そしてユダヤ人全体への屈辱となる。

 

これに対して、ユダヤ系学生団体は猛烈に抗議した。彼らはTzipi Livni氏、ハーバード・ロースクールのユダヤ系学生、そしてハーバード全体への公開謝罪を求めている。

 

少数ではあるが、発言した学生を擁護する者もおり、そのコメントに対して、また批判コメントが相次いで、ハーバードコミュニティは揺れに揺れている。

 

ただでさえ、人種問題には非常に敏感なアメリカの大学で、かつ、ハーバード・ロースクールは、今、非常にセンシティブな状況なのである。アフリカ系アメリカ人が平等を非常に強く訴えてロビーを占拠し、それに対して快く思わない人たちが出てきている。ある者はロビー占拠に抗議して、トランプ氏のポスターをロビーに貼りまくり、それを学校側に撤去された。彼の抗議行動自体には同調しないものの、「少数者の声を聞け、と声高に叫んで、ロビーを占拠するアフリカ系アメリカ人の運動の文脈の中で、他の少数者の声を排除するのはおかしいのでは?」と疑問を呈する者もいる。

 

アメリカに来てまざまざと感じることになった人種問題の根深さ。ハーバード・ロースクールのコミュニティは、またこの問題に揺れそうである。

 

The smelly Jew」で検索した画像は、ちょっとあまりにもどぎついので、写真はTzipi Livni氏とオバマ氏のもの。以下のソースから引用。

ブログ160511②

https://www.google.com/search?tbm=isch&q=tzipi+livni+obama&revid=75065941&sa=X&ved=0ahUKEwi4zcfIm5zMAhXCXRoKHQ9fB9EQ1QIIHA&dpr=1.5&biw=1280&bih=610#imgrc=j-RaxGDqEmWmrM%3A